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不動産の共有は慎重に―遺産相続コラム

不動産を相続する場合に,共有には慎重になるべきだと思います。

遺産分割協議が成立していないと,相続人が共有しているとみなされます。
また,たとえば相続人それぞれに持ち家が有って誰も引継ぎを希望しない場合や,売却などの条件面で折り合いがつかず遺産分割協議が難航した場合などに、ひとまず共有にして遺産分割協議を終了することもあります。

しかし,共有だと色々面倒なことがあります。
まず,共有する家の管理,維持費をどうするかが問題になります。
空き家になっていても屋根,壁,塀などの修繕費はかかりますし,定期的な手入れのための水道,電気代や火災保険料なども必要になります。また,固定資産税も毎年発生します。誰がどのように負担するかを決めるのは,なかなか厄介です。
また,家に買い手が見つかっても,共有者全員の合意がなければ売却できません。一人が売却に反対なら残りの人全員が売却を進めたくても売却できませんし,全員が売却の方向で同意したとしても売却の時期や価格などで揉めることも多いです。
そして,共有にしたまま相続人が死亡し代替わりすると,当事者の関係性が希薄になっていくことから,さらに分割協議がまとまりにくくなっていきます。放置しているうちにどんどん世代交代がすすんで相続人が増えて数十人になったり,というケースもあります。そうなると,相続人全員で協議をして合意をするのはきわめて困難になってしまいます。

相続問題は,いつかは解決しなくてはならないのですから,後回しにしない方がいいと思います。
不動産の分割方法には,不動産を物理的に分ける現物分割のほかに,売却して代金を分ける換価分割や,一人が相続して他の相続人に代償金を渡す代償分割もあります。
それぞれメリット,デメリットがあり簡単ではないとは思いますが,やり方を工夫して,タイミングを逃さないように,早めに共有関係を解消するのが望ましいと思います。
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